「ごめん……」

 ハッとする。リコの出生を軽んじてしまった言葉だった。まるで、自分との間の子供でないリコを、断罪するかのような。僕の知らぬ誰かと詩織の子供だからという理由で虐げるかのような。

 僕の心無い言葉にも、リコの表情は変わらない。彼女をは粛々と言葉を続けた。

「母は間違いなく、あなたを愛してました。結婚だってしたかったんです」

 僕は首を横に振る。分からない。分からないんだ……。