何故なら、六ヶ月の出張に出発する時、詩織は病院で入院していた。なんとかと言うホルモン異常の病気で、その時点で既に四ヶ月ほど入院を余儀なくされていた。本当だったら一緒に海外に行きたかった。いや、連れていくつもりだった。それでも、退院の目処が立たなくて、断念せざるえなかった。
病気はすぐに死に直結するようなものではなかった。しかし、症状が現れると、立っているのも困難なほどの眩暈に襲われる。吐き気だって酷い。顔色も悪く、とても慣れない海外で、昼間だけとは言え、彼女を一人にさせることなんて出来なかったのだ。
だから僕は一人で海を渡った。たった六ヶ月だと、自分にも詩織にも言い聞かせて。
病気はすぐに死に直結するようなものではなかった。しかし、症状が現れると、立っているのも困難なほどの眩暈に襲われる。吐き気だって酷い。顔色も悪く、とても慣れない海外で、昼間だけとは言え、彼女を一人にさせることなんて出来なかったのだ。
だから僕は一人で海を渡った。たった六ヶ月だと、自分にも詩織にも言い聞かせて。