リコはゆっくりと首を横に振った。そしてもう一度、真っ直ぐに僕の目を見やる。

「母と結婚してください」

 聞き返しても尚、言ってる意味がちっとも理解できなかった。親と会えと言うなら分かる。でも、母親と結婚しろとはどういう了見だろう。

「詩織……飯山詩織」

 この名前覚えてる? 神妙な面持ち。こちらの反応を待っている。いや、試しているようにも見える。