「ちょ、ちょっとどうしたの?」

 慌てたものの、結局、タクシーから引きづり下ろされてしまった。辛うじて、鞄を手にすることは出来た。

「大丈夫です。行ってください」

 タクシーの運転手にそう言い、リコは呆気なく車を発進させた。あっという間の出来事に、口を開く間もなかった。