リコが僕の方を向く。電柱にもたれるのを止めて、一歩、もう一歩と僕の方に近づいてくる。やがて彼女の足が止まった。その距離は約1メートル。僕と向かい合う形になる。何か言わないといけない。そう思うのに、昼間の失敗が脳裏に顔を覗かせる。下手なことを口に出来ない。そう思ってしまうと臆病風に吹かれてしまって、ただ口を開くという行動でさえ、難しいことに気づかされた。
やがて彼女の方が動いたかと思ったら、いきなり抱きしめられた。胸に顔を埋められ、背中に両手が回される。ギュッと力も込められる。頭が真っ白になる。許されない失敗を犯した。見捨てられたと思っていた。だからどうしていいか分からない。宙に浮いている両手の行き先にも困ってしまう。
あたふたしていると、リコは見上げてきた。目と目が合う。謝って。不意にリコはそう言った。
やがて彼女の方が動いたかと思ったら、いきなり抱きしめられた。胸に顔を埋められ、背中に両手が回される。ギュッと力も込められる。頭が真っ白になる。許されない失敗を犯した。見捨てられたと思っていた。だからどうしていいか分からない。宙に浮いている両手の行き先にも困ってしまう。
あたふたしていると、リコは見上げてきた。目と目が合う。謝って。不意にリコはそう言った。