引っ張られながら、次、リコが口を開いた時の言葉を想像していた。そして想像した先の答えを導き出すのは容易でもあった。

 ――サヨナラ。

 そう言われて愛想を尽かさせる。

 でも、なかなかその時は訪れない。無言のまま絞首台への階段を上らされているような、ただただ辛いばかりの時間を過ごした。解放もされず、ずっと腕を掴まれ、街を引きずり回された。晩御飯だってつき合わされた。リコの好きな焼肉。高い肉ばかり頼み、ビールもしこたまリコは飲んだ。さすがに日本酒を頼もうとした時は止めた。リコを酔い潰させるわけにはいかない。