それでも、ほとんど僕に選択権のない関係でも、リコの隣は不思議と居心地が良かった。何故か懐かしい気持ちになるのだ。

 僕とリコとの関係は、一体なんだろう。そう考えることは少なくない。会社にいる時は上司と部下だ。でも、プライベートで会っている時は、そんなことは関係ない。父親代わり? だが、腕を組んで街を歩くだろうか。いや、仲の良い父娘だったらあるかもしれない。

 でも、そればかりではない。あったかーいと言って背中から抱きつかれることも度々あった。そのまま頭を首の辺りに乗せてくるものだから、背中越しに彼女の胸の感触だって伝わってくる。きっとそんなことくらいリコだって気づいている。それなのに、リコはどんどんと腕の力を強めてくる。