驚きと得体の知れない恐怖とで、声が裏返った。胸がザワザワする。

「三日後…そんなに早く?」

おっちゃんは、沈痛な面持ちで頷いた。

「行を積んでいないお前を嫡子に迎えるかどうかが、審議の争点になる筈だった…だがな。お前が、兄貴の骨を持ち歩いて、異能の力を使っている事が、何処ぞから漏れちまったようなんだ。それで、総代の内偵が入ったんだよ。」

 内偵?──つまり。
素行調査の様な事をされていたと?

「どうして、内偵なんて…?」

 おっちゃんはボクの質問には答えず、煙草に火を点けると、ゆっくり吸い込んでから、溜め息の様に吐き出した。

「──お前。兄貴の『骨』を使って、怪我や病気を治しただろう?それも、一度や二度じゃないな?」

「う、うん……」

「アレを見られたんだよ。筆頭総代の式神にな。」

「見られたって、誰に?え…えっ!?もしかして、見られちゃいけなかったの?」

「────」

 返事の代わりに、盛大な溜め息が返ってくる。そこで初めて、してはいけない事をしてしまっていたのだと覚(サト)った。