ボクが天才?

信じられない。
もし、それが本当なら──

「どうして親父は…ボクに、跡を継がせまいとしたんだろう?」

「多分、強過ぎるからだろう。」

 渋い顔で、おっちゃんは言った。

「強過ぎる力には、半端じゃない負荷が掛かる。強大な『力』を持つからこそ、振り掛る厄災も大きい。…兄貴は、ソレを心配していたんだと思う。」

「おっちゃん…」

「いいか、薙?当主にはな。それを支える為に、一族最強の行者が四人、サポートに就いている。俺らは『四天』と呼んでいるが……」

「?う、うん…」

 おっちゃんの表情は、いつになく固い。

「当主が代替わりすると同時に、その四天衆も代替わりする。次の当主を品定めして、相応しいかどうかを見極めてから、正式に引き継ぐんだ。引退した四天は総代となって、裏から甲本家を支える位置に就く。」

 な──なに、急に?

小首を傾げていると、おっちゃんは、ますます眉を曇らせて言った。

「…三日後。現・四天と総代衆が集まり、お前を審議する事になった。そこで過半数に承認されたら、お前が甲本の当主…つまり、六星一座の首座になる。そうなったらもう、拒否も辞退も許されない。」

「うそっ!」