瑠威は、尚も興奮気味に言った。

「術も秘剣も、オレは独学で身に付けた。誰の助けも借りず、皆を見返す為だけに、独りきりで努力した。それもこれも、全て憎しみが力になったからだよ!やっと…やっと自由になれたのに…これ以上、何を奪う気だ!?」

「奪うなんて…そんな事はしない!それは本当の自由じゃないよ!! ボクは、君に解って欲しくて…」

「うるさい!」

 瑠威の怒声が、ボクの言葉を遮る。

「憎悪こそが、オレの力の源だ。なのにアンタは、それさえも奪った!」

「違う!憎しみは、力になどならない!!魂を蝕むだけだ。」

 ボクは必死に瑠威を説得した。

「風の当主の《力》は魂の浄化を司る…。なのに、こんなに強い憎しみを持ち続けていたら、君はその矛盾で潰れてしまう!君だって、とうに気付いている筈だ。」

「もういい、聞きたくない。」

 瑠威は、感情を押し殺した声で言い放った。

「剣を取れ、金の当主。」
「…瑠威…」

「オレは、自分より強い者しか認めない。そんなに言う事をきかせたいなら、今此処でオレを倒して見せろ。」

 拒絶の言葉を投げ付ける瑠威。
やはり、説得は無理なのか?
力づくで従わせるしか手は無いのだろうか??