瑠威は…何も答えなかった。
唇を引き結んで、硬く目を閉じている。
青褪めた、頑是無(ガンゼナ)い表情(カオ)。
延べたボクの指先が、その頬に触れた途端…彼は、キッと顔を上げてボクの手を払い退けた。
「知った風な口をきくな!」
甲高く叫ぶなり、瑠威は刀を取って立ち上がった。
その目は、微かな殺気を湛えている。
「憎んで何が悪い?世間も鈴掛も、あの医者達も…全てを憎んで何が悪いんだ!?」
「瑠威…」
「勝手な解釈で、オレの心に踏み込むな!オレは…憎む事で強くなれたんだ。憎しみは、寧(ムシ)ろオレの糧になったんだよ!!」
瑠威は、再び刀を抜き放った。
ギラリと閃く白刃がボクの顎を撫でる。
「誰も、何も教えてくれなかった。術も剣も力の使い方も、何ひとつだ!…何故だと思う?『弱い』からだよ!!病弱な上に、男に身を濁され、力を取り上げられた弱い跡継ぎには、行も術も必要の無いものだからさ!見ろよ、この体?? 男か女かも判らない…まるで珍しい見世物だ!! オレ達は、奴らの玩具だ。データを提供する為だけに生まれた『実験動物』なんだ!」
「それは違う、瑠威!」
「違わない!! 皆、優しい振りをして近付いて来るけど、本当は心の何処かで俺を蔑んでいるんだよ。アンタもだ、薙!哀れんで同情して…ご立派な自分に酔っているだけだ!!」
この言葉に、瑠威の本心が見えた。
…そうだったのか…。
皆、彼を思うあまり、遠巻きにし過ぎたのだ。
越えられない壁を作っていたのは、瑠威ではなく、周りの人々だった。彼の身に起きた凄惨な過去を思うあまり、誰も近付けなくなっている。
唇を引き結んで、硬く目を閉じている。
青褪めた、頑是無(ガンゼナ)い表情(カオ)。
延べたボクの指先が、その頬に触れた途端…彼は、キッと顔を上げてボクの手を払い退けた。
「知った風な口をきくな!」
甲高く叫ぶなり、瑠威は刀を取って立ち上がった。
その目は、微かな殺気を湛えている。
「憎んで何が悪い?世間も鈴掛も、あの医者達も…全てを憎んで何が悪いんだ!?」
「瑠威…」
「勝手な解釈で、オレの心に踏み込むな!オレは…憎む事で強くなれたんだ。憎しみは、寧(ムシ)ろオレの糧になったんだよ!!」
瑠威は、再び刀を抜き放った。
ギラリと閃く白刃がボクの顎を撫でる。
「誰も、何も教えてくれなかった。術も剣も力の使い方も、何ひとつだ!…何故だと思う?『弱い』からだよ!!病弱な上に、男に身を濁され、力を取り上げられた弱い跡継ぎには、行も術も必要の無いものだからさ!見ろよ、この体?? 男か女かも判らない…まるで珍しい見世物だ!! オレ達は、奴らの玩具だ。データを提供する為だけに生まれた『実験動物』なんだ!」
「それは違う、瑠威!」
「違わない!! 皆、優しい振りをして近付いて来るけど、本当は心の何処かで俺を蔑んでいるんだよ。アンタもだ、薙!哀れんで同情して…ご立派な自分に酔っているだけだ!!」
この言葉に、瑠威の本心が見えた。
…そうだったのか…。
皆、彼を思うあまり、遠巻きにし過ぎたのだ。
越えられない壁を作っていたのは、瑠威ではなく、周りの人々だった。彼の身に起きた凄惨な過去を思うあまり、誰も近付けなくなっている。