──その時。
宝剣・凰華が、ボクを励ます様に、『リーン』と共鳴音を発した。

 …そうだ。
宝剣は、血肉を欲する凶器ではない。
斬る事によって、魂に巣食う悪因縁を根絶する為に、振るうものだ。

 だからこそ、六星一座には秘伝の剣技がある。だが─…

「まさか…こんなに早く、これを使う日が来るとは思わなかったよ。」

 そう言うと、ボクは徐(オモム)ろに鳳華の刃を反した。

「行くよ、瑠威。」

長かった苦しみの枷(カセ)から、ボクがこの手で彼を解放する。

魂の刀法、《金の星》の秘剣。
その名を──

「鳳凰転法輪《ほうおうてんぼうりん》!」

 ダン!!

大きく前に踏み込むや、ボクは右手で刀を一閃した。斜め下段から天へ向かって…宛ら、飛翔する鳳の様に、一息に薙ぎ払う。

 シュッ!と風斬る音と共に、瑠威のシャツが大きく裂けた。

一瞬の出来事だった…。