「それで、瑠威は?」
「部屋から発見された時、瑠威は半ば意識を失っていたと聞いています。その後、事件の当事者で話し合いが持たれ、直ぐに示談が成立しました。」
「示談か…。告発したいのは山々だが、瑠威がした事を、公にする訳にはいかないからな。」
したり顔で呟く一慶に、東吾は軽く頷いて言う。
「向こうとしても、この事件を公表されては困るだろう。元々、厚労省のお偉方が、自分達の点数稼ぎの為だけに立ち上げた、お祭りプロジェクトだ。下手に騒いでマスコミに知られては、選挙に悪影響が出る。示談に際しても、かなりの金額を呈示して来たらしいが…右京さんは金を受け取らず、研究チームの解散を条件に、話に応じたそうだ。」
「う~ん…両者痛み分けか。なんや釈然とせぇへんけど。下手に騒ぎ立てたら、瑠威の立場が益々悪るなるもんな。」
遥は、考え込む様に顎を捕えて続ける。
「六星一座も、今やしがない公務員。ぶっちゃけ、国の庇護が無いと立ち行かんとこ、あるもんなぁ。」
「…あぁ。苦渋の決断だった。だが先代は未だに、ご自分を責めている。本当に、その方法が瑠威にとってベストだったのか…と。」
その親心は、痛い程解った。
ここで、親としての怒りを優先してしまったら、六星一座の公的立場が危うくなる。
『当主』と『父親』。
二つの立場の板挟みに懊脳する姿は、ボクにも容易に想像出来た。
「部屋から発見された時、瑠威は半ば意識を失っていたと聞いています。その後、事件の当事者で話し合いが持たれ、直ぐに示談が成立しました。」
「示談か…。告発したいのは山々だが、瑠威がした事を、公にする訳にはいかないからな。」
したり顔で呟く一慶に、東吾は軽く頷いて言う。
「向こうとしても、この事件を公表されては困るだろう。元々、厚労省のお偉方が、自分達の点数稼ぎの為だけに立ち上げた、お祭りプロジェクトだ。下手に騒いでマスコミに知られては、選挙に悪影響が出る。示談に際しても、かなりの金額を呈示して来たらしいが…右京さんは金を受け取らず、研究チームの解散を条件に、話に応じたそうだ。」
「う~ん…両者痛み分けか。なんや釈然とせぇへんけど。下手に騒ぎ立てたら、瑠威の立場が益々悪るなるもんな。」
遥は、考え込む様に顎を捕えて続ける。
「六星一座も、今やしがない公務員。ぶっちゃけ、国の庇護が無いと立ち行かんとこ、あるもんなぁ。」
「…あぁ。苦渋の決断だった。だが先代は未だに、ご自分を責めている。本当に、その方法が瑠威にとってベストだったのか…と。」
その親心は、痛い程解った。
ここで、親としての怒りを優先してしまったら、六星一座の公的立場が危うくなる。
『当主』と『父親』。
二つの立場の板挟みに懊脳する姿は、ボクにも容易に想像出来た。