「《降魔術(ゴウマジュツ)》です。魔神の力を以て魂魄を縛し、一気に奈落に追い落とすという荒技です。《風の星》の力は浄化を表しますが…中でもこれは究極奥義と言われる秘法であり、当主の力の象徴なのです。」

「聞いた事あるな、それ。」

 一慶が、ボソリと呟いた。

「生身の魂魄を、生きたまま無間地獄に落とすっていうやつだろう?」

「そんな凄い術があるの?」

 驚いて一慶を見上げると、彼は複雑な表情で頷いた。

「あぁ…《六星降伏秘法》のひとつだよ。行者の力量が問われる、高度な術だ。大自在天の功徳で暴風を起こし、体から魂魄だけを吹き飛ばして、地獄の最下層に叩き落とす。これを施された人間は、確実に精神崩壊する。」

 その言葉を受けて、東吾が言った。

「度重なる暴挙に耐えていた瑠威が、渾身の祈りで放った秘術です。常人には、一堪りもなかったでしょう。男は精神を破壊されて、再起不能になりました。最早、廃人ですよ。」