遥が、不意に話に割って入る。

「なぁ、祐ちゃん?俺もう既に、会話に付いていかれへんのやけど…XやらYやらて、何なん?」

祐介は『少しややこしいけれど』と前置きをしてから、説明を始めた。

 ヒトの性別は、女が[XX]、男が[XY]という性染色体を有する事で分かれていく。

だが稀に『染色体異常』が発生し、[XXY]という、X染色体を多く持つ男性が生まれる事があるのだ。同様に、X染色体が欠落した『XO性染色体』を持つ女性もいる。

 前者を『クラインフェルター症候群』、後者を『ターナー症候群』と云うらしい。

 …この様に。

[XXY染色体]を持つ男性は、XX(女)とXY(男)──両方の性特性を持つが故に、男性的な第二次性徴が、上手く促進されない場合がある。

 瑠威は、当にその典型だ。

性染色体異常の患者は、500~1000人に1人の割合で生まれるというが──瑠威と瑠佳の様に、『異性一卵性双生児』が起因して発症する例は、世界でも極めて稀なのである。