そうして──
ボク等は、東の対屋にある当主の私室に腰を落ち着けた。

母屋からは、未だ賑やかな笑い声が聞こえて来る。まだ宵の口だと云うのに、祝宴は大盛り上がりだ。

…好きだなぁ、みんな。
主役不在の宴会は、最早、唯のお祭り騒ぎだ。

要するに、呑める理由さえあれば良いのである。主役が居ようと居まいと、最初《はな》から関係無いのだろう。

 ボクと一慶、遥、祐介、東吾の四人は、母屋の騒ぎを避ける様にして、《東の対屋》に逃げ込んだ。防音とセキュリティの利いたボクの私室は、密談を交す場として大変都合が良い。

 氷見に頼んで食事を運んで貰うと、螺鈿(ラデン)細工の大きな座卓が、一気に賑やかになった。当然の様に酒類が並んでいるのも、六星ならではの光景と言える。

 氷見によれば──苺と紫は、人知れず酒宴を抜け出したらしい。

今頃どんな会話を交しているのか…。
いや、考えるのは止そう。
ボクが今向き合うべきは、神崎瑠威の問題だ。