ボクと一慶と苺が一斉に声を挙げた。

暫しの沈黙──そして。
一慶が、ゆっくりと此方に顔を巡らせる。

「…お前…女なの?」
「一応…」

ボクが答えると、一慶は忽ち息を呑んだ。
強張った表情で凝視される。

「おいおい、嘘だろ?」
「嘘なんか吐いていない。」

 ボクは、自分が『男』だなんて、初めから一言も言っていない。 見た目だけで、勝手に『男』だと判断したのは、そっちだ。

一慶の目線が、ボクの頭の天辺から足元まで落ち──また、ゆっくりと上がって来て、胸の辺りでピタリと止まる。

それから、穴が空く程まじまじと其処を見詰めて…愕然と呟いた。

「──頼むから嘘だと言ってくれ。」

「どうしてボクが、そんな嘘を吐かなきゃならないんだ?!」

「…いや、だって…女って、その胸で?」

 言われて改めて、自分の胸を見る。
確かに、我ながら貧乳だと思う。
限り無く平面に近いとは思う。
それは認めよう、だけど…

「な?流石に自覚はあるだろう?? お前、その身体は反則だぞ。性別詐称に当たる違法行為だぞ?」

「違法行為なわけあるかっ、失礼だな!性別詐称なんてしていないよ!! 魂を読めば解るだろう??」

「それは苺の仕事だ。俺は、無闇に他人の魂魄を読まない主義なんだよ。それより、その胸どうにかしろよ。これじゃ、どっちが前だか後ろだか判らな」

 バシ───ッ!

言葉の途中で、思い切り彼を張り飛ばしてしまった。小さく呻いた一慶が、頬を押さえて屈み込む。

…いい気味だ。