押し黙ってしまった瑠威に、祐介は医師らしい賢明さで訊ねる。
「治療には通っているのかい?」
「アンタには関係ないだろう。」
「確かに僕には関係ない。キミの主治医じゃないからね。だが敢(ア)えて言わせて貰えば、キミがコンプレックスに感じている虚弱体質も、外見の女性化も…全て、この病に起因しているんだ。悪い事は言わない。早急に治療を始めなさい。自己の体調管理も、当主の大事な努めだよ?」
「………。」
「不遇な運命を背負って生まれた事は、僕なりに気の毒に思う──だが。こんな風に八つ当たりされては、迷惑だ。キミのその自暴自棄は、首座である薙の足を引っ張る事にもなり兼ねない。当主の自覚があるのなら、今は前向きに治療すべきじゃないかな?」
「……。」
「ネガティブな発想に閉じ籠るのは、自慰行為と同じだ。満足するのは自分だけで、問題の解決にはならないよ?」
「───。」
何を言われようとも、頑(カタク)なに無言を貫く瑠威。その実…悔しそうに唇を噛む彼に、祐介は尚も畳み掛ける。
「乳房の発達は、思春期に多く見られる症状だ。ホルモン剤の投与を継続する事で徐々に改善されるし、体調も整って来る。先ずは、病と向き合う覚悟を持つ事だ。キミにその意志があるのなら、明日にでも僕の病院においで。医師として、治療に前向きな患者に協力する事は、吝(ヤブサカ)かでないよ?」
医師として──癒者としての意見を冷静に語り終えると、彼は穏やかな口調で、そう締め括った。
「治療には通っているのかい?」
「アンタには関係ないだろう。」
「確かに僕には関係ない。キミの主治医じゃないからね。だが敢(ア)えて言わせて貰えば、キミがコンプレックスに感じている虚弱体質も、外見の女性化も…全て、この病に起因しているんだ。悪い事は言わない。早急に治療を始めなさい。自己の体調管理も、当主の大事な努めだよ?」
「………。」
「不遇な運命を背負って生まれた事は、僕なりに気の毒に思う──だが。こんな風に八つ当たりされては、迷惑だ。キミのその自暴自棄は、首座である薙の足を引っ張る事にもなり兼ねない。当主の自覚があるのなら、今は前向きに治療すべきじゃないかな?」
「……。」
「ネガティブな発想に閉じ籠るのは、自慰行為と同じだ。満足するのは自分だけで、問題の解決にはならないよ?」
「───。」
何を言われようとも、頑(カタク)なに無言を貫く瑠威。その実…悔しそうに唇を噛む彼に、祐介は尚も畳み掛ける。
「乳房の発達は、思春期に多く見られる症状だ。ホルモン剤の投与を継続する事で徐々に改善されるし、体調も整って来る。先ずは、病と向き合う覚悟を持つ事だ。キミにその意志があるのなら、明日にでも僕の病院においで。医師として、治療に前向きな患者に協力する事は、吝(ヤブサカ)かでないよ?」
医師として──癒者としての意見を冷静に語り終えると、彼は穏やかな口調で、そう締め括った。