衆目の中──。

瑠威の険しい視線を浴びて尚、祐介は大人の余裕で、彼の前に立った。

道場の片隅では、見るからに屈強な四人の守護者達が、複雑な表情で新当主の様子を見守っている。

 瑠威は彼等を冷たく一瞥すると、鬱陶し気に舌打ちをした。

彼は、四天に対して全く心を開いていない。家族に対しても、同じ『壁』を作っている様に見える。

 他を寄せ付けないその頑迷さに、ボクは少なからず違和感を憶えた。

「…ちょっと診せて貰うよ?」

 そう言うと、祐介は瑠威の顎を持ち上げた。
露わになった白い喉に、指を這わせて念入りに触診する。

それから、片袖を捲って腕を…そのまま肩まで捲り上げて脇を…更には、全体の確認をする様に、身体中を一通り触れた。

 そうして最後に、瑠威の胸元をチラリと覗いて言う。

「全身至るところに症状が出始めているね。まぁ…第二次性徴期に入ったから、当然かな。」

 何の事だろう?
祐介はもう、その答えに到達しているようだ。