「それはアンタの四天に訊いたら?其処に、立派な『お医者さん』がいるじゃない。」

 そう言って、ボクの背後を顎の先で示す。
驚いて振り返ると、巡らせた視線の先には、祐介、一慶、遥の三人が立っていた。

 瑠威は、挑み掛かる様な眼差しで祐介を見ている。何処までも挑戦的な彼の態度に、場内の空気がピリピリと弾けた。

「…祐介…」

 戸惑いの眼差しで見上げれば、祐介は、『任せて』とでも云う様に、頼もしく頷き返す。

それからボクの肩をポンと叩いて、瑠威の元に向かった。見送ったその背は、着物と揃いの群青色の羽織で覆われている。

ボクを庇って怪我を負った祐介…。
裂けてしまった片袖を隠す為、身に付けた羽織なのだと想うと、胸の奥がチリリと痛んだ。

 四天の努めとは云え──。
ボクはいつも、こうして彼等に護られている。

語らずとも通じ合う、心と心。
これが当主と四天の『絆』なのだ。

 右京が諭していた様に──瑠威もまた、この堅固な護りの中にいる筈である。

それが証拠に、今こうしてる間にも、《風の星》の四天達が、次々と道場に駆け付けていた。