どう会話を繋げようかと考えあぐねていると、瑠威は自嘲する様に口角の片端を吊り上げて言った。

「ぶっちゃけ、そんな事はどうでも良いんだ。オレはもっと重大な秘密を知っている。オレの『病気』や、出生に纏わる秘密をね。」

「秘密…?」
「知りたい??」
「───。」
「見せてやるよ。オレの秘密。」

 此方の答えを待たずに立ち上がると、瑠威は、自らの懐を大きく左右に開げて見せた。

透き通る白い肌…。
露わになった裸の胸を見て、ボクは言葉を失った。

僅かだが…両の乳房に、明らかな膨らみがある。筋肉の無い痩せた体は、まるで思春期の少女そのものだった。

 目の遣り場に困って、ボクは視線を游がせる。

「る、瑠威…あの…」
「念の為に言って措くけど──」

 ボクの言葉を遮る様に、瑠威はキッパリと言い放った。

「オレ、女じゃないからね?胸が膨らんでいるのは病気の所為(セイ)だ。戸籍も含め、他の部分は全部『男』だよ。何なら、この袴も脱いで見せようか?」

「いや、いい…」

 明け透けな物言いに、思わず頬が火照る。

神崎瑠威…
子供だとばかり思っていたが──彼の本質は、ボクの印象とは、全く違うものなのかも知れない。

「瑠威の病気って、何なの?」

 単刀直入に訊ねると、瑠威は、はだけた胸元を直しながら皮肉に笑った。