刀を鞘に納めると、ボクは早速本題に入った。

「瑠威は自分自身の事を、どこまで知っている?」

「何それ?どういう意味??」

 ズバリと切り出した途端、瑠威の眼差しが剣呑さを帯びる。

「瑠佳から、何か聞いた?」
「うん、まぁ…色々とね。」

「そう。お喋りだな、瑠佳は。じゃあ隠しても無駄だね。何から話せば良い??」

 瑠威は、投げ遣りな口調で嘆息した。
面倒臭そうに掻き上げる前髪。
賢そうな額が露わになる。

「…瑠威の潜在能力は、素晴らしいものだ。でも、今は力の全てを行使する事が出来ないと、瑠佳が言っていた。その理由は知っている?」

「知っている。誰も教えてくれないから、自分で調べた。俺の『力』は半分しかない。残り半分を、祖父ちゃんが瑠佳に遷(ウツ)し代えたからだ。俺が…弱いから。」

 そう言って──
猫の様に透明な瞳を、ジッと此方に向けてくる。

やはり、瑠威は知っていたのだ。

何処か自暴自棄な態度の裏には、自身の脆弱性(ゼイジャクセイ)に対する苛立ちや焦りがあったからだろう。

 …だが。瑠威は、同情される事を嫌っている。

彼と真剣に向き合う為に、ボクは憐れみや同情の念を捨てるべきだ。