一心に見詰める少女の視線の先には、思った通り瑠威の姿が在る。
《風の星》の少年当主は、板貼りの道場にキチンと端座していた。その前には、鞘から抜き放たれた真剣が置かれている。
…キンと澄んだ空間はまるで、其処だけ時空から切り取られた様だ。
「瑠威は此処に居たんだね。あれは何をしているの?」
「多分、禅定。」
「ぜんじょう?」
「瞑想みたいなものだよ。悩みがあると、いつもなの。ああやって何時間も、その場を動かない。」
瑠威…。
抱えた悩みを、自分一人で無理に消化しようとしているみたいだ。
「バカだよ、瑠威は。あの子…本当の自分が解っていないんだ。」
「どういう意味?」
ボクが訊ねると、瑠佳は、形の良い眉をギュッと寄り合わせて話を続ける。
「あの子ね。自分は『当主として相応しくない』って思い込んでる。私達が双子で…半分ずつの力しか持っていないから。いつまでも半人前扱いされているのは、自分が未完成で中途半端な行者だからだと…思っているみたい。」
あぁ…これ、か。
瑠威を見る度に、嘗ての自分と似ていると感じていたのは、きっとこれなのだ。
《風の星》の少年当主は、板貼りの道場にキチンと端座していた。その前には、鞘から抜き放たれた真剣が置かれている。
…キンと澄んだ空間はまるで、其処だけ時空から切り取られた様だ。
「瑠威は此処に居たんだね。あれは何をしているの?」
「多分、禅定。」
「ぜんじょう?」
「瞑想みたいなものだよ。悩みがあると、いつもなの。ああやって何時間も、その場を動かない。」
瑠威…。
抱えた悩みを、自分一人で無理に消化しようとしているみたいだ。
「バカだよ、瑠威は。あの子…本当の自分が解っていないんだ。」
「どういう意味?」
ボクが訊ねると、瑠佳は、形の良い眉をギュッと寄り合わせて話を続ける。
「あの子ね。自分は『当主として相応しくない』って思い込んでる。私達が双子で…半分ずつの力しか持っていないから。いつまでも半人前扱いされているのは、自分が未完成で中途半端な行者だからだと…思っているみたい。」
あぁ…これ、か。
瑠威を見る度に、嘗ての自分と似ていると感じていたのは、きっとこれなのだ。