ボクは暫くの間、息を止めて頑張った。
耳元に、囁く様な祐介の真言が聞こえる。
「オン、マユラキャ、ランデイ、ソワカ…」
鼻をギュッと抓まれたまま、今度は背中をゴシゴシ擦られた。…何だろう?堅くてゴツゴツした物が背骨に当たって、とんでも無く痛い!
「ん~!! ん~、ん、んっ!」
ボクは、口を閉じたまま、必死に祐介の腕を叩いて訴えた。
(痛い!! 痛いってば、祐介!)
「あぁ、ごめん。背中が痛かったんだね?これかい?? これは念珠(ネンジュ)だよ、ほら。」
そう言って見せてくれたのは、水晶の《数珠》だった。小さなブレスレット型の念珠を、強く背に擦り付けていたのだ。
こんな時の為に、常から身に付けているのだろうか? そして。ボクは、いつまでこうして息を止めていれば良いのだろう??
様々な疑問で苦しさを紛らわすが、そろそろ我慢の限界だ。
意識が途切れそうになった──その時。
急に、背中をバン!と叩かれた。
「っ!」
思わず、ぷはぁと息を吐く。
同時に蛇の毒気が逆流して来て、ボクは堪らず噎せ返った。
「ぅえ!! ゲホ、ゴホゴホ!祐介…ひど…」
「苦しかった?でも、毒は抜けたよ。」
涼し気に笑っているけれど…祐介は、見掛けに依らず馬鹿力だ。
どれ程強く叩いたんだろう?
まだ背中が痛い…。
ジンジンと伝わる痺れを感じながら、ボクは今度こそ巳美の魂を飲み下した。
体中に侵蝕していく熱。
チリチリと焼け付く様な痛みが、胸の内側を焦がす。
冷たくて熱い巳美の魂魄は、まるでドライアイスの様だ。その奥底に、彼の記憶の残像が視える。
…なんて、寒くて荒涼とした風景だろう。
彼が辿った過去の時間が、まるでスライド・ショーの様に、脳裏を過ぎて行く。
確(シッカ)り意識を保たなければ、負の感情に引き擦られそうだ。
耳元に、囁く様な祐介の真言が聞こえる。
「オン、マユラキャ、ランデイ、ソワカ…」
鼻をギュッと抓まれたまま、今度は背中をゴシゴシ擦られた。…何だろう?堅くてゴツゴツした物が背骨に当たって、とんでも無く痛い!
「ん~!! ん~、ん、んっ!」
ボクは、口を閉じたまま、必死に祐介の腕を叩いて訴えた。
(痛い!! 痛いってば、祐介!)
「あぁ、ごめん。背中が痛かったんだね?これかい?? これは念珠(ネンジュ)だよ、ほら。」
そう言って見せてくれたのは、水晶の《数珠》だった。小さなブレスレット型の念珠を、強く背に擦り付けていたのだ。
こんな時の為に、常から身に付けているのだろうか? そして。ボクは、いつまでこうして息を止めていれば良いのだろう??
様々な疑問で苦しさを紛らわすが、そろそろ我慢の限界だ。
意識が途切れそうになった──その時。
急に、背中をバン!と叩かれた。
「っ!」
思わず、ぷはぁと息を吐く。
同時に蛇の毒気が逆流して来て、ボクは堪らず噎せ返った。
「ぅえ!! ゲホ、ゴホゴホ!祐介…ひど…」
「苦しかった?でも、毒は抜けたよ。」
涼し気に笑っているけれど…祐介は、見掛けに依らず馬鹿力だ。
どれ程強く叩いたんだろう?
まだ背中が痛い…。
ジンジンと伝わる痺れを感じながら、ボクは今度こそ巳美の魂を飲み下した。
体中に侵蝕していく熱。
チリチリと焼け付く様な痛みが、胸の内側を焦がす。
冷たくて熱い巳美の魂魄は、まるでドライアイスの様だ。その奥底に、彼の記憶の残像が視える。
…なんて、寒くて荒涼とした風景だろう。
彼が辿った過去の時間が、まるでスライド・ショーの様に、脳裏を過ぎて行く。
確(シッカ)り意識を保たなければ、負の感情に引き擦られそうだ。