もがき苦しむボクを見て、烈火が慌てて駆け寄って来た。
「薙!! 大丈夫かよ、おい!?」
肩を大きく揺すられて、ボクは益々苦しむはめになる。
体が痺れて動かせない。
何だろう…この、異物感は?
魂が上手く呑み込めない。
《傀儡術》とは…。
神子が、他の行者の魂を一部だけ『共有』するという秘術だ。
《六星天河抄》に依れば──。
神子は原則的に、どんな宗派の行者であっても分霊する事が可能らしい。取り込んだ魂の魔性や邪気を、中和する事が出来るのだ。
ボクには、邪気を『浄化』する力がある。
だから、真織の魂を引き受けた時も、全く負担にならなかった。
なのに何故。
今回は、こんなにも手こずるのだろう?
巳美の魂は、なかなか呑み下せない。
それに─…
「…ぅ…ん、ぐふっ」
突如、言い様の無い嘔吐感が込み上げて来た。思わず口元を押さえると、烈火が心配そうに背中を擦ってくれる。
「は、吐き気がするのか?」
烈火の問いに、ボクは無言で頷いた。
…と、そこへ。
「蛇霊の毒気に当たったんだろう。背中を擦っては駄目だ、烈火くん。却って嘔吐感が増すからね。」
「そうなのか!? やべっ!ごめんな、薙。」
「其処を退いてくれ。僕が代わる。」
祐介は、烈火の手から、そっと奪い取る様にしてボクの体を抱き寄せた。それを見た烈火は不満気に鼻を鳴らしたが、それすらも祐介は、余裕の笑みであしらってしまう。
ややあって。汗ばむ背中に、ふわりと大きな手が添えられた。
「呑み込めないのかい、薙?」
「…ん…んん…」
「無理に返事をしなくても良いよ。狐霊と違って、蛇霊には特有の毒があるからね。真織の魂を呑んで間も無い体に、《蛇霊遣い》の魂まで引き受けるなんて…いくら神子でも、無謀なんだ。回復期間が短か過ぎる。」
《金の星》の西天は、そう言ってボクを窘めた。
「薙。今から解毒するから…。少し辛いけど我慢するんだよ?」
コクリと頷くと、いきなり鼻を抓まれた。
「…んぷ…!」
「口を開けちゃ駄目だ。ちゃんと閉じて。」
口も塞ぐのか?
無理だ、苦しい…。
「薙!! 大丈夫かよ、おい!?」
肩を大きく揺すられて、ボクは益々苦しむはめになる。
体が痺れて動かせない。
何だろう…この、異物感は?
魂が上手く呑み込めない。
《傀儡術》とは…。
神子が、他の行者の魂を一部だけ『共有』するという秘術だ。
《六星天河抄》に依れば──。
神子は原則的に、どんな宗派の行者であっても分霊する事が可能らしい。取り込んだ魂の魔性や邪気を、中和する事が出来るのだ。
ボクには、邪気を『浄化』する力がある。
だから、真織の魂を引き受けた時も、全く負担にならなかった。
なのに何故。
今回は、こんなにも手こずるのだろう?
巳美の魂は、なかなか呑み下せない。
それに─…
「…ぅ…ん、ぐふっ」
突如、言い様の無い嘔吐感が込み上げて来た。思わず口元を押さえると、烈火が心配そうに背中を擦ってくれる。
「は、吐き気がするのか?」
烈火の問いに、ボクは無言で頷いた。
…と、そこへ。
「蛇霊の毒気に当たったんだろう。背中を擦っては駄目だ、烈火くん。却って嘔吐感が増すからね。」
「そうなのか!? やべっ!ごめんな、薙。」
「其処を退いてくれ。僕が代わる。」
祐介は、烈火の手から、そっと奪い取る様にしてボクの体を抱き寄せた。それを見た烈火は不満気に鼻を鳴らしたが、それすらも祐介は、余裕の笑みであしらってしまう。
ややあって。汗ばむ背中に、ふわりと大きな手が添えられた。
「呑み込めないのかい、薙?」
「…ん…んん…」
「無理に返事をしなくても良いよ。狐霊と違って、蛇霊には特有の毒があるからね。真織の魂を呑んで間も無い体に、《蛇霊遣い》の魂まで引き受けるなんて…いくら神子でも、無謀なんだ。回復期間が短か過ぎる。」
《金の星》の西天は、そう言ってボクを窘めた。
「薙。今から解毒するから…。少し辛いけど我慢するんだよ?」
コクリと頷くと、いきなり鼻を抓まれた。
「…んぷ…!」
「口を開けちゃ駄目だ。ちゃんと閉じて。」
口も塞ぐのか?
無理だ、苦しい…。