「確かに。だが遊びにセオリーを持ち出すのは、少々ヤボだ。『殺し合い』という名の『お遊び』は、もっと本気で楽しまなくちゃな。」
「何だと!?」
「さぁ…次は本気で来てくれよ?ここからが本番なんだからさ!」
巳美は、レンズが片方割れた眼鏡を乱暴に投げ捨てた。頬に一筋流れた血の雫を親指で拭って、ペロリと舐める。
「楽しい『お遊戯』の時間だ。」
中庭に生温い風が吹き抜けた。
刹那、高らかに咒を唱える声が上がる。
「オン、イジャナヤ、ソワカ!」
ぶゎん!
空間が歪む様な、強い衝撃波がボク等を襲った。
ビュッ!
ザザザザ──!!
熱風の刃が周囲に飛び散り、楓の葉がバラバラと千切れる。
邪念を編み込んだ風の礫(ツブテ)。
これは、鎌鼬(カマイタチ)だ。
「頭を下げて!」
祐介は、着物の袖で包み込む様にボクを庇った。だが、次の瞬間…シュッ!という風切り音と共に、彼の袖が大きく裂けた。花弁の様に鮮血が舞い、ボクの頬を濡らす。
「祐介、腕が…!」
「大丈夫だ。キミは動くな。」
彼の二の腕に、刀傷の様な赤い裂目が見えた。夥(オビタダ)しい出血に、ボクの体が震える。
だけど、それに構う様子も無く、祐介はボクを抱きかかえる様にして、壁際へと導いた。
「何だと!?」
「さぁ…次は本気で来てくれよ?ここからが本番なんだからさ!」
巳美は、レンズが片方割れた眼鏡を乱暴に投げ捨てた。頬に一筋流れた血の雫を親指で拭って、ペロリと舐める。
「楽しい『お遊戯』の時間だ。」
中庭に生温い風が吹き抜けた。
刹那、高らかに咒を唱える声が上がる。
「オン、イジャナヤ、ソワカ!」
ぶゎん!
空間が歪む様な、強い衝撃波がボク等を襲った。
ビュッ!
ザザザザ──!!
熱風の刃が周囲に飛び散り、楓の葉がバラバラと千切れる。
邪念を編み込んだ風の礫(ツブテ)。
これは、鎌鼬(カマイタチ)だ。
「頭を下げて!」
祐介は、着物の袖で包み込む様にボクを庇った。だが、次の瞬間…シュッ!という風切り音と共に、彼の袖が大きく裂けた。花弁の様に鮮血が舞い、ボクの頬を濡らす。
「祐介、腕が…!」
「大丈夫だ。キミは動くな。」
彼の二の腕に、刀傷の様な赤い裂目が見えた。夥(オビタダ)しい出血に、ボクの体が震える。
だけど、それに構う様子も無く、祐介はボクを抱きかかえる様にして、壁際へと導いた。
