六星行者【一之卷】~銀翼の天子

 大自在天とは、ヒンドゥ教の神シヴァが、仏教に取り込まれて、天部の神となったものだ。

ヒンドゥ教三大神の一人であるシヴァ神は、破壊と混沌を司る。蛇を首に巻き踊り狂う姿から、蛇そのもので表される事もあるという──。

 言われてみれば確かに。
肉眼には映らなかったそれが、行者の眼になれば蛇の様にも視える。

ボクは、霊視して初めて事態の深刻さを知った。丸太の様に太い蛇が、烈火の首にグルグルと巻き付いているのだ。

どうしよう…どうすれば!?

「蛇が視えたかい、薙?」

「うん、視えた。でも、どうやってあれを倒すの?あのままじゃ、烈火が…!」

「大丈夫、落ち着いて。」

 思わず祐介の袖を掴むと、彼は安心させる様にボクの肩を抱いた。

「大自在天法は、本来とても恐ろしい術だ。鈴掛の蛇霊遣いは、これを使って人を殺める事もある。僕達六星行者にも、馴染みの術だよ。これを解けなきゃ命に関わる。」

「それじゃあ早く助けなきゃ!」
「必要ない。」
「祐介!?」

「烈火くんなら自分で解ける。それより、彼の行動を良く見ておいで?蛇霊の祓い方の基本技が見られるよ。」

「………。」

 ボクは不安な気持ちで、烈火を見守った。