言い返した途端、向かいの席で祐介がクツクツと肩を震わせた。

「その通りだよ、薙。キミは見た目に反して、なかなか頭が良いんだね。安心したよ。」

 厭な言い方だ…
最後の『安心した』は余計だろう。

「とにかく、どんな話を聞かされようと首座になんかならないよ!ボクには関係ないからねっ!!」

「でも、キミは断れない。」
「………っ!」

祐介は冷たく笑って、そんな事を言う。
一体何だって言うんだ。
みんなして、寄ってたかって──!

「薙。」

 おっちゃんが、不意に真顔になる。

「兄貴が急死して、お前も気持ちの整理がつかなかっただろうが…こればっかりは何としても、お前に継いで貰わなきゃならねぇんだよ。様々言い分はあるだろうが…そこは堪えて、何とか引き受けて欲しい。この通りだ!」

 ──頭を下げられても困る。
こんな理不尽な話があるか?

納得も合点も出来そうに無い。
なのに、おっちゃんは縋る様な眼差しを向けて懇願する。

「お願いだ、薙。聞き分けてくれ。兄貴が一生掛けて護り通したものを、今度は、お前が継ぐんだよ。頼む!お前にしか出来ない事なんだ。」

「…嘘だ。」