遥と巳美の間に、微妙な空気が流れた。
鈴掛一門の次席頭領、巳美春臣。
遥の伯父さんを、死に追いやったという──これが、噂の《蛇霊遣い》か。
確かに、只者ではない鬼気を感じる。
全身から放たれる、凄まじい邪念。
次席頭領の実力が如何程のものであるのか、容易に想像出来る。
一触即発の空気の中…巳美は、カメラをヒョイと肩に背負った。ザクザクと玉砂利を踏み鳴らしながら、回廊の真下に詰め寄るや、手摺越しに遥を見上げて話し掛ける。
「何だよ。漸く再会出来たのにつれないな。挨拶も無しか?」
「お前…どういうつもりで?」
「勿論、御祝いを言いに来たのさ。目出度い日だもんなぁ、今日は?」
「………」
「そんな顔するなって。安心しなよ。今日はリベンジの為に来た訳じゃない。あんたとのリターン・マッチは、次のお楽しみに取って措こうぜ?」
「………。」
「そういや、鍵島姓を継いだらしいな。あの爺さまに後継者がいたとはねぇ。なかなか侮れねぇ一族だ。」
遥は、最後まで何も答えなかった。
だが。ギュッと握り締めた両の拳が、彼の心情を全て表している。
鈴掛一門の次席頭領、巳美春臣。
遥の伯父さんを、死に追いやったという──これが、噂の《蛇霊遣い》か。
確かに、只者ではない鬼気を感じる。
全身から放たれる、凄まじい邪念。
次席頭領の実力が如何程のものであるのか、容易に想像出来る。
一触即発の空気の中…巳美は、カメラをヒョイと肩に背負った。ザクザクと玉砂利を踏み鳴らしながら、回廊の真下に詰め寄るや、手摺越しに遥を見上げて話し掛ける。
「何だよ。漸く再会出来たのにつれないな。挨拶も無しか?」
「お前…どういうつもりで?」
「勿論、御祝いを言いに来たのさ。目出度い日だもんなぁ、今日は?」
「………」
「そんな顔するなって。安心しなよ。今日はリベンジの為に来た訳じゃない。あんたとのリターン・マッチは、次のお楽しみに取って措こうぜ?」
「………。」
「そういや、鍵島姓を継いだらしいな。あの爺さまに後継者がいたとはねぇ。なかなか侮れねぇ一族だ。」
遥は、最後まで何も答えなかった。
だが。ギュッと握り締めた両の拳が、彼の心情を全て表している。