「薙さま。お目覚め下さい、薙さま?」
優しいけれど、いつに無く切迫した氷見の声で、ボクは目が覚めた。
「お時間でございます。何卒お支度、お急ぎ下さい。」
時間…時間?
「あっ!」
飛び起きてモバイルフォンを鷲掴むと、時刻は既に起床時間を過ぎていた。
「嘘っ!? アラーム掛け忘れてる!」
最悪だ…。
昨夜、良く眠れなかったから。
今日の式に対する不安や心配もあったが、やはり一番の原因は苺と紫の徒(タダ)ならぬ関係だ。
衝撃的な事実を知ってから、頭の中がその事で一杯で、なかなか寝付けなかった。
今日の《当主継承着任式》は、六星一座が揃い踏みする。昨日以上に、大勢の来賓が招かれている。
当主に併せて、四天衆の《相承式》も行われるから、当然、紫と苺が顔を合わせる事もある訳で…。
そんな事を考えていたら、ドキドキしてしまって、すっかり目が冴えてしまった。
「もう!どんな顔して会えば良いんだ!?」
思わず頭を抱えると、驚いた氷見が、気遣わしげに御簾を覗き込んだ。
「薙さま、如何なさいました?まだ御気分が優れませんか??祐介さまをお呼び致しましょうか?」
「…あ、いや。大丈夫だよ。すぐ着替えて居間に行くから。」
『大丈夫』という答えに、氷見は納得していない様だったが…結局、他に上手い言い訳が思い付かないまま、ボクは大慌てで着替えを済ませた。
優しいけれど、いつに無く切迫した氷見の声で、ボクは目が覚めた。
「お時間でございます。何卒お支度、お急ぎ下さい。」
時間…時間?
「あっ!」
飛び起きてモバイルフォンを鷲掴むと、時刻は既に起床時間を過ぎていた。
「嘘っ!? アラーム掛け忘れてる!」
最悪だ…。
昨夜、良く眠れなかったから。
今日の式に対する不安や心配もあったが、やはり一番の原因は苺と紫の徒(タダ)ならぬ関係だ。
衝撃的な事実を知ってから、頭の中がその事で一杯で、なかなか寝付けなかった。
今日の《当主継承着任式》は、六星一座が揃い踏みする。昨日以上に、大勢の来賓が招かれている。
当主に併せて、四天衆の《相承式》も行われるから、当然、紫と苺が顔を合わせる事もある訳で…。
そんな事を考えていたら、ドキドキしてしまって、すっかり目が冴えてしまった。
「もう!どんな顔して会えば良いんだ!?」
思わず頭を抱えると、驚いた氷見が、気遣わしげに御簾を覗き込んだ。
「薙さま、如何なさいました?まだ御気分が優れませんか??祐介さまをお呼び致しましょうか?」
「…あ、いや。大丈夫だよ。すぐ着替えて居間に行くから。」
『大丈夫』という答えに、氷見は納得していない様だったが…結局、他に上手い言い訳が思い付かないまま、ボクは大慌てで着替えを済ませた。