おっちゃんの横柄な物言いに、ぎゅっと眉間を皺立てて苛立ちを堪えると、一慶は渋々の体で箸を置いた。

「…甲本一慶。26歳。不本意ながら、其処にいるアホ首座代理の息子だ。出来れば近い将来、縁を切りたいと思っている。術系統は降伏(ゴウブク)、武術系統は体術。以上だ。」

 一気にそれだけ言い放つと、一慶はまたムッツリと口を結んでしまった。

 「ごうぶく──」

耳に残る不思議なその言葉を、ボクは声に出して反芻してみる。すると、祐介が心得た様に説明を加えた。

「印契(インゲイ)と真言で、魔を捻伏せる法術だよ。これに対して、癒霊や読心は天解(テンゲ)と呼ばれているんだ。ちなみに、僕も降伏系だよ。」

降伏と天解…
成程、そんな分類があるのか──。

 独りで納得していると、いきなり苺が大声を上げた。

「はぁい!! 次はアタシね!小椋苺21歳独身で~す!私立の服飾大に通ってまぁす!夢は、着物のデザイナーになること。術系統は天解よ。」

 ──なに??
ボクは、ギョッとして苺の顔を凝視した。

「21歳!? うそっ、年上?!」

「そうだよっ!あたしの方がお姉さんなんだからね!! 因みに、薙とは主系の従兄弟に当たるの。よく覚えておいてね!」

ニッコリ笑って、苺は言った。