その後、祝いの酒席が設けられた。
ご馳走と銘酒がふんだんに振る舞われ…遂には、一座名物のらんちき騒ぎになってしまう。
…まったく。
どうして皆、こうも酒好きなのか?
一緒に参座したおっちゃんなどは、既に酩酊状態だ。ベロンベロンに酔っ払って手が付けられない。
置いて帰ろう…。
こんな大きな人、ボク一人で連れ帰るなんて、到底無理だ。
盛り上がる宴席を半ば呆れつつ眺めていると、不意に、ボクの向かいに向坂玲一が座った。
「首座さま、この度は…何と御詫び申し上げれば良いか…」
そう言って、深々と頭を下げる。
少し窶れたその顔を見ていると、胸がギュッと締め付けられた。
…ボクの中で、真織の魂が強く反応している。
「誠に面目次第もございません。私が不甲斐ないばかりに、この様な不始末を…。」
玲一は益々深く体を折って、額を畳に擦り付ける。ボクは恐縮して、それを制した。
「頭を上げて下さい。折角の祝いの席じゃないですか…」
「いえ。本来ならば、もっと早くに、こうして御詫び申し上げなければならなかったのです。それを…」
玲一の気持ちが、『痛み』となって魂に刺さる。嘆いているのは、ボクか…それとも、半分に分けた真織の魂なのか。区別は到底付かなかったけれど…。
ボクは、彼の肩を支えて無理矢理面を上げさせた。
「貴方が悪いんじゃない。最初から誰も悪くなんか無かった。だからもう、この事を語るのはやめにしましょう。」
「首座さま…」
「首座命令です。やめましょう。ね?」
玲一は、ガクリと頭を下げると、項垂れたまま頷いた。
《土の星》は、変わるのだ。
新当主・向坂紫の着任によって。
だからもう、前を向いて歩まねばならない。
ご馳走と銘酒がふんだんに振る舞われ…遂には、一座名物のらんちき騒ぎになってしまう。
…まったく。
どうして皆、こうも酒好きなのか?
一緒に参座したおっちゃんなどは、既に酩酊状態だ。ベロンベロンに酔っ払って手が付けられない。
置いて帰ろう…。
こんな大きな人、ボク一人で連れ帰るなんて、到底無理だ。
盛り上がる宴席を半ば呆れつつ眺めていると、不意に、ボクの向かいに向坂玲一が座った。
「首座さま、この度は…何と御詫び申し上げれば良いか…」
そう言って、深々と頭を下げる。
少し窶れたその顔を見ていると、胸がギュッと締め付けられた。
…ボクの中で、真織の魂が強く反応している。
「誠に面目次第もございません。私が不甲斐ないばかりに、この様な不始末を…。」
玲一は益々深く体を折って、額を畳に擦り付ける。ボクは恐縮して、それを制した。
「頭を上げて下さい。折角の祝いの席じゃないですか…」
「いえ。本来ならば、もっと早くに、こうして御詫び申し上げなければならなかったのです。それを…」
玲一の気持ちが、『痛み』となって魂に刺さる。嘆いているのは、ボクか…それとも、半分に分けた真織の魂なのか。区別は到底付かなかったけれど…。
ボクは、彼の肩を支えて無理矢理面を上げさせた。
「貴方が悪いんじゃない。最初から誰も悪くなんか無かった。だからもう、この事を語るのはやめにしましょう。」
「首座さま…」
「首座命令です。やめましょう。ね?」
玲一は、ガクリと頭を下げると、項垂れたまま頷いた。
《土の星》は、変わるのだ。
新当主・向坂紫の着任によって。
だからもう、前を向いて歩まねばならない。