然り気無く、呼び捨てにされて──また少し戸惑った。この一族は、二度目に会う時は呼び捨てにするという習慣でもあるのだろうか?

いきなり距離を詰められた様で、ドキリとする。

 …すると。そんなボクを見透かしたかの様に、クスリと笑って祐介が言った。

「改めて名乗るよ。僕は坂井祐介、26歳。内科医だ。坂井家は甲本の主系の分家筋にあたる親族で、キミとは再従兄弟の間柄になる。」

「はとこ?」

「孝之さんの従兄弟──つまり、キミのお父上の従兄弟に当たる坂井周成が、僕の父だ。術系統は《癒霊》。今朝程ご披露したばかりだから、解るよね?」

「うん。」

 ボクは、先程目の当たりにした不思議な現象を思い出していた。彼の細い指先から放たれていた、あの美しく澄んだ青い光を──

ああいう事が出来る様になるには、やはり医師免許も必要なのだろうか?

「違うわ。祐ちゃんが医者になったのは、お父さんの後を継ぐ為よ。」

 デザートのサクランボを頬張りながら、苺がボクの疑問に答える。

「祐ちゃんのパパはねぇ、坂井総合病院ていう大きな個人病院の院長なの。こう見えて、祐ちゃんは副院長さんなんだから。」

成程。医者のサラブレッドなのか──

「そういうこと!」