成り行きとは言え、この姿で街を歩く自分を想像すると、またクラリと目眩がする。だが断ったら、確実に遥の機嫌を損ねるだろう。やっと誤解が解けたばかりなのだ。また揉め事になっては堪らない。

 悲しさと切なさを噛み締めながら、ボクは小さく溜め息を吐いた。

「ところで姫?本日の体調は如何です??」

 向かいの席の祐介が、僅かに身を乗り出して訊ねる。

「お陰様で、もう大丈夫だよ。看病してくれて有難う、祐介。」

 素直な気持ちでお礼を言うと、『どういたしまして』という言葉と共に、極上の微笑が返って来た。

 穏やかな空気…。
全員揃っての食事は久し振りだ。
見れば、テーブルの上には、既に沢山の料理が並んでいる。

どれも凄く美味しそう…。
ほかほかと湯気を立てるご馳走を前に、瀕死の胃袋が悲鳴を挙げる。