「お父さんはどうします?」

 庸一郎は、息子に苦笑いを向けて答えた。

「あぁ。俺は此処で孝之を待つよ。玲一には、後でゆっくり見舞いに行くと伝えてくれ。」

 蒼摩は、人形の様にカクリと顔を傾けると、『解りました』と返して部屋を出た。

 会話の少ない親子だ…。
何処と無く、ギクシャクしている様にも見える。

ボクは、ふと故郷の母を思い出した。
母さんとボクは、友達の様な感覚で、始終お喋りばかりしていたけれど──。

同じ親子でも男同志だと、こんな風に淡々としているものなのだろうか?

 何故だか無性に、母に会いたい…。
元気に暮らしているだろうか?
独りぼっちで寂しくないかな??

 実家を離れてから未だ日も浅いのに…もう、里心がついている。