裏一座は、当面の間、《鈴掛一門》の調査を続ける事になった。

一番の課題である玲一と真織の処遇についても、百日間の懺悔行を課す事を条件に、委細不問で解決の運びとなったのである。

 右京と宗吉爺は、神崎家の御用車で早々に引き上げた。姫宮庸一郎は、間も無く帰宅する筈のおっちゃんこと甲本孝之を待って、息子の蒼摩共々、まだ屋敷に残っている。

 各自が何となく後片付けを始めた…そこへ。パタパタと息急き切って駆け付けたのが、遥だった。そうして、今の有り様となった訳なのだが…

「怖かっただろう、薙?一緒に居られなかったお詫びに、俺がたっぷり癒してあげるからね。」

 いやいや、結構だ。
きっぱり遠慮させて頂く。
絡み付く腕を解きながら、ボクは身を反らせた。

「遥!みんな見ているから!!」
「俺は別に気にならないよ。」
「ボクが気にするんだよっ!」

「良いじゃない、少しだけ!折角会えたと思ったら、何やら大変な事になっているし…俺、本当に心配だったんだから。」

 確かに、彼と顔を会わせたのは久し振りだ。だからと言って、場所柄も弁えず抱き着かれちゃ困る。

「空気読んでよ、遥。今は、そういう状況じゃないでしょ?」