「闇行者だけが集う、秘密結社じみた組織があるのです…。彼等は、高額な報酬と引き換えに、暗殺や呪咀を請け負うので、《外法衆》と呼ばれています。」

「げほうしゅう…?」
「えぇ。」

 蒼摩は、相変わらず淡々とした口調で続けた。

「その名を、鈴掛一門(スズカケイチモン)。日本に現存する行者衆の中で、一番大きな集団が我々《六星一座》だとすれば、唯一その向こうを張れるのが彼等…鈴掛一門です。」

「………。」

 ボクは、一瞬言葉を失ってしまった。
鈴掛一門は、金さえ払えば、どんな事でもすると言う。

呪咀も呪殺も、時には死者をも甦らせる。
依頼を受けたら手段を選ばない──つまり。
行神力を売り物にする、暗殺集団なのだ。

 堂々と外法を行う闇行者がいるなんて、俄《にわ》かには信じられない…。

そんなものが実在するのか?

 ボクの心情を察したのか、蒼摩は少し声のトーンを落として言う。

「彼等は、完全な裏組織です。謎が多く、実態は掴めていません。顔と実名が知られているのは、幹部の数名だけ…中には、金で雇われている流れ行者もいるという噂です。規模の上では、寧ろ、六星を凌駕しているかも知れません。その行神力は最高レベル。或る意味、エリート中のエリート集団と云えます。」