「次に来る?何がです??」

 一瞬の沈黙の後。
ボクは、鷹取を真っ直ぐに見詰め返して言った。

「天魔だ。」
「…な…んですって!?」

 広い会議場が、俄かに騒然となる。
此処に集う者の殆どが、迫り来る《天魔》の気配に気付いていなかった。

信じられない。
六星行者ともあろう者達が…。

「僕も手伝うよ。」

 騒ぎの中、紫がツイと立ち上がった。

「…身内の『不始末』は、次期当主である僕が責任を取らなきゃね。」

「紫…」

「大丈夫。その為の準備も済ませてある。援護するから、薙は降伏だけに集中して。…篝ちゃん、おいで。僕と組もう。」

「はい。」

 紫に手招きされて、篝がいそいそ歩み寄る。彼の決意は固い様だ。

朝から晩まで、寝食も忘れて祈り三昧の修行に明け暮れていたのは、今日この日の為だったのか…。

 紫には、何か考えがあるらしい。

《土の星》と《木の星》は相乗効果を生む《星併(アワ)せ》だ。彼等が組めば、結界に特殊な作用が加わる。

あらゆる霊障を緩和し、行者の身を安全に保持する事が出来るのだ。──宛(サナガ)さら、大地を覆う草木の様に。