弁の立つ事では鷹取に勝るとも劣らない、あの姫宮庸一郎が、珍しく言い淀んでしまった。
──無理もない。
これは、幻の奥義なのだ。
六星一座千年の長い歴史の中でも、数える程しか行われていない。
最古参の鍵爺ですら、その実際を目にした事が無いという、秘法中の秘法だ。
神子が修する奥義の中には、異端のあまり偏見を持たれているものもある──と、一慶から聞いて知ってはいたが。
この術は特にも謎めいており、皆の解釈も曖昧だった。
《塊儡術》──。
それは、《分霊術》とも呼ばれる霊縛系法術の最高峰だった。
異端の秘法とされているが、その全容は、未(イマ)だ解明されていない。
六星天河抄の五之巻には、次の様に記されている。
『神子が《金目》を用いて行う異端の技の一つ。殊更に際立ちたる、異能の行者の魂魄を、金目の行神力に因(ヨ)りて、生涯分かち持つ秘術を云う也…』
──要約するに、これは。
神子が、行者の『力』の半分を『預かる』という荒業なのである。
主に、《狐霊遣い》等の異能の行者に施された術で、彼等の悪性を抑える為、初代の神子・神楽童子が完成させたと伝えられている。
その内容は、驚くべきものであった。
神子は、行者の魂魄を半分に分け、自らの魂魄と融合させる。
すると、その者の特殊能力を使える様になるばかりか、肉体までをも意のままに動かす事が出来るのである。
…そう、まるでマリオネットの様に。
こうして分霊された行者は、完全に神子の支配下に措かれる。宿主である神子には、絶対に逆らえない。
また。神子の断り無く、行力を振るう事も来ない。
…そればかりか。
勝手に死ぬ事も許されないのである。
神子の命が尽きる瞬間まで、預けた魂魄が解放される事は無いのだ。
己が寿命すらコントロールされる秘法。
それが、六星傀儡術(ロクセイカイライジュツ)だった。
──無理もない。
これは、幻の奥義なのだ。
六星一座千年の長い歴史の中でも、数える程しか行われていない。
最古参の鍵爺ですら、その実際を目にした事が無いという、秘法中の秘法だ。
神子が修する奥義の中には、異端のあまり偏見を持たれているものもある──と、一慶から聞いて知ってはいたが。
この術は特にも謎めいており、皆の解釈も曖昧だった。
《塊儡術》──。
それは、《分霊術》とも呼ばれる霊縛系法術の最高峰だった。
異端の秘法とされているが、その全容は、未(イマ)だ解明されていない。
六星天河抄の五之巻には、次の様に記されている。
『神子が《金目》を用いて行う異端の技の一つ。殊更に際立ちたる、異能の行者の魂魄を、金目の行神力に因(ヨ)りて、生涯分かち持つ秘術を云う也…』
──要約するに、これは。
神子が、行者の『力』の半分を『預かる』という荒業なのである。
主に、《狐霊遣い》等の異能の行者に施された術で、彼等の悪性を抑える為、初代の神子・神楽童子が完成させたと伝えられている。
その内容は、驚くべきものであった。
神子は、行者の魂魄を半分に分け、自らの魂魄と融合させる。
すると、その者の特殊能力を使える様になるばかりか、肉体までをも意のままに動かす事が出来るのである。
…そう、まるでマリオネットの様に。
こうして分霊された行者は、完全に神子の支配下に措かれる。宿主である神子には、絶対に逆らえない。
また。神子の断り無く、行力を振るう事も来ない。
…そればかりか。
勝手に死ぬ事も許されないのである。
神子の命が尽きる瞬間まで、預けた魂魄が解放される事は無いのだ。
己が寿命すらコントロールされる秘法。
それが、六星傀儡術(ロクセイカイライジュツ)だった。