裁定会が始まった。
出席者は、ボクを除いて十五名。

その内訳は、各家の当主が六名と筆頭総代が六名。それから、真織と一慶と祐介だ。

因みに。玲一さんは、《土の星》の当主でありながら、今回は裁かれる側に措かれている。

 怱々たる顔触れが揃う会議場…そこで。

予期せぬ事が起きてしまった。

「…本日は、特別裁定員として鍵島翁が、ご臨席になる予定でしたが…体調不良の為、ご欠席なさるとの由。付きましては、《金の星》の前西天である私、鷹取雅彦が、代役を勤めさせて頂きます。」

 鷹取は、厳めしい顔付きで一同に頭を下げた。

『この裁定は厳しくなるよ。鷹取さんが出て来るからね』

 裁定会の開催直前に、祐介が持たらした情報は正しかった。ボクは、ゴクリと喉を鳴らす。

 鷹取雅彦は、峻厳で保守的な人物だ。
昔ながらの《六星一座》の在り方を、頑なに守ろうとする傾向がある。

だからこそ。正義を貫く為には、《闡提》に対する強行処分も吝(ヤブサ)かでないと考えている筈だ。

 ──もし、ボクが。
真織の『厳罰処分』に反対の立場を取ったら、彼は真っ先に異を唱えるだろう。