会議場へとボクを導きながら…祐介は探る様な眼差しで、巧みに問い質して来る。

「裁定会なんて初めての事だし…キミが緊張して眠れなかったんじゃないかと思って、心配していたんだよ。どうなんだい?」

「ね…眠れたよ。朝まで、ぐっすり。」

 鼓動が段々早くなる。
動揺を気取られない様、どうにか笑って見せたけれど…彼には、あまり通用しなかった。

「その割には酷い隈だね。本当は、寝不足なんじゃない?」

 これはマズい──ピンチだ。
祐介は、薄々勘付いている。

 …実を云えば。ボクと一慶は、昨夜もほぼ徹夜で、眷属霊の使役法を修練していたのだ。

だけど、今は言えない。
言えないから俯いてしまう。
祐介の視線が痛くて、顔が上げられない。

「最近、カズと仲が好いみたいだね?もしかして…昨夜も一緒だった??」

「まさか!全然、一緒じゃないよっ!!」

 ぎこちなく答えると、祐介は端正な顔をグッと近付けて、ボクを覗き込んだ。

「明け方、カズの部屋から出てきたのは、キミだろう?あれは、どういう事??」

「ぅ──」
「二人で朝まで、何をしていたのかな?」

「何って、別に何も…っ」
「人には言えない様な事?」
「違うってば!」