「修行の方法にも、六星各々のスタイルがあるんだよ。《土の星》の行者は、特にもストイックだ。若い内から、厳行に身を窶(ヤツ)す傾向がある。」

「そうなんだ…。」

 やはり、行者の修行は厳しい。
逸足飛びに辿り着ける様なものでなはい。

 ボクは──何処まで、彼等の境地に迫れるだろうか?付け焼き刃の修行が通用するとは思えないが…それでも、他に方法が無い。

 …二人きりの遅い朝食を済ませた後。
ボク等は再び瞑想室に向かった。
《観想》と呼ばれる瞑想行を続ける。

 方法としては、向坂家の離れで初めて修した、あの霊縛術に良く似ていた。

自身の心に全《まった》き月を想い浮かべ、仏と一体になる事を祈る、祈る──ただ祈る。

 呼吸が整い、心が定まると、次第に迷いも焦燥も失せていった。

作法や、そこに臨む姿勢は大分身に付いて来たと思う…だが。まだ、はっきりとした祈りの感じが掴め無い。

 そうして暫く祈念に没頭した後。
静かな声で、一慶が話し掛けてきた。

「随分、安定して来たな。心が波立たなくなった。集中力や持続力も付いて来ている。」

「判るの??それは、天解の術で?」
「天解を使わなくても、一緒に祈れば判る。」

 そういうものなのか…。
言われて見れば、そうかも知れない。
一緒に祈りに入ると、時々同じ深さで『呼吸』しているのを感じる。