「…凄い数。これ全部、一慶の本?」
「経典と言って欲しいな。」
「経典?お経なの?? これ全部!?」
「あぁ…ちょっと手出せ。」
理由も解らず両手を出した處ろへ、ポンと数冊乗せられた。
「これとこれ…それから、この辺と…」
次々に、経典を取り出してはボクの両手に乗せてゆく一慶。そうやって積み上げられた書籍は、瞬く間に、ボクの顔前を覆う程の高さになってしまった。
「ちょっと、一慶。重いんだけど…。」
「だろうな。」
「だろうなって、まだ乗せるの?…わ!?」
積み重なった経典が、バランスを崩して落ちそうになる──そこへ。間一髪、一慶が手を差し延べた。
「大丈夫か?ちゃんと持ってろよ。」
「無理だよ、こんなに沢山!!」
「仕方が無いな。貸せ。」
横からヒョイと荷物を奪われて、急に手の上が軽くなった。
「どうするの、それ?」
「勿論、お前が読むに決まってんだろう?」
「え?これ全部!?」
新書サイズの分厚い経典は、ザッと二十冊程もある。
「まさか。流石に全部は無理だろう。今から大事な部分だけ抽出するから。取り敢えず、そこを片っ端から読んでみろ。」
そう言いながら、彼は手際良く符箋を貼り始めた。
片っ端からと言うが…抽出した部分だけでも、読んでいる内に夜が明けてしまいそうな量だ。
喉から不平が出掛かったが、それをグッと飲み下す。自ら助言を求めて措いて、断る事など出来る筈がない。
ボクは、恐る恐る経典を手に取り、開いてみた。
「経典と言って欲しいな。」
「経典?お経なの?? これ全部!?」
「あぁ…ちょっと手出せ。」
理由も解らず両手を出した處ろへ、ポンと数冊乗せられた。
「これとこれ…それから、この辺と…」
次々に、経典を取り出してはボクの両手に乗せてゆく一慶。そうやって積み上げられた書籍は、瞬く間に、ボクの顔前を覆う程の高さになってしまった。
「ちょっと、一慶。重いんだけど…。」
「だろうな。」
「だろうなって、まだ乗せるの?…わ!?」
積み重なった経典が、バランスを崩して落ちそうになる──そこへ。間一髪、一慶が手を差し延べた。
「大丈夫か?ちゃんと持ってろよ。」
「無理だよ、こんなに沢山!!」
「仕方が無いな。貸せ。」
横からヒョイと荷物を奪われて、急に手の上が軽くなった。
「どうするの、それ?」
「勿論、お前が読むに決まってんだろう?」
「え?これ全部!?」
新書サイズの分厚い経典は、ザッと二十冊程もある。
「まさか。流石に全部は無理だろう。今から大事な部分だけ抽出するから。取り敢えず、そこを片っ端から読んでみろ。」
そう言いながら、彼は手際良く符箋を貼り始めた。
片っ端からと言うが…抽出した部分だけでも、読んでいる内に夜が明けてしまいそうな量だ。
喉から不平が出掛かったが、それをグッと飲み下す。自ら助言を求めて措いて、断る事など出来る筈がない。
ボクは、恐る恐る経典を手に取り、開いてみた。