「これは《裁定》だ。裁定者全員を納得させられる様な『代替案』を提示しなければ、状況は変わらないだろう。下手に庇い立てすれば、今度はお前が、一座から外され兼ねない。」

「外される!?首座を?」

「首座どころか、六星そのものから切られる可能性もある。」

 今まで見た事がない様な厳しい顔で、彼は言った。

「そうなったら最悪だ。真織を救うどころじゃなくなってしまう。お前の云う『救済案』を通したいなら、一座全員を黙らせるくらいの、決定的な『打開策』が必要になる。失敗したら、後がない。」

 …そこまでの覚悟があるか?
そう言いたげな表情で、一慶はボクを見た。

 覚悟なら勿論、出来ている。
ボクの提案が、すんなり通るとも思っていない。でも…改めて、そう問い質されると、考えの甘さを再認識してしまう。

 ボクは、間違っているのだろうか?

段々、頭が混乱してきた。
この気持ちを──疑問を、哀しみ、憤りを、どう説明すれば彼に解って貰えのか?

 気ばかり焦って、上手く伝えられない。

「…焦らなくていい。」
「え?」

「思い付いた順で良いから、自分の中に有るものを全部吐き出せ。どんなに矛盾していても構わない。幸い、時間は腐る程ある。」

「……。」

 ボクの焦燥感を、ボクの混乱を、彼はちゃんと見抜いていた。