「おい待て。本当に置いていく気か?」
「勿論だよ。一慶は、自分の愛車を置いて行きたくないんだろう?? じゃあ頑張るしかないよね?」
冷たく突き放すと、一慶の顔が屈辱に歪んだ。
「…こいつら、腹立つ!俺は一体、何だってこんな扱いを受けているんだ?納得いかねぇ!!」
ぶつぶつと呟く彼は、本当に進退極まっている様だった。だが、鍵を落とした一慶が悪い。
「では、僕達はこれで。」
「鍵…見付かるといいね、一慶?」
「薙っ!」
二人で立ち去り掛けた…その時だった。
「鍵って、これの事?」
突然、車の中から声がした。
見れば──僅かに開いた助手席の窓から、小さな白い顔が此方を覗いている。
指先に銀色のキーホルダーを引っ掛け、得意気にチラ付かせているのは──
「紫っ!?」
「ふふ…また会ったね、薙。」
…そう言って。勢い良く車から飛び降りた紫は、長い髪を背中でひとつに束ねていた。洗い晒した空色のシャツを着ている。
「鍵が欲しいの?僕が持っているけど??」
紫は、右手に持った鍵をシャラシャラ鳴らして笑って見せた。途端に、一慶の目の色が変わる。
「お前…!その鍵、何処で!?」
「勿論だよ。一慶は、自分の愛車を置いて行きたくないんだろう?? じゃあ頑張るしかないよね?」
冷たく突き放すと、一慶の顔が屈辱に歪んだ。
「…こいつら、腹立つ!俺は一体、何だってこんな扱いを受けているんだ?納得いかねぇ!!」
ぶつぶつと呟く彼は、本当に進退極まっている様だった。だが、鍵を落とした一慶が悪い。
「では、僕達はこれで。」
「鍵…見付かるといいね、一慶?」
「薙っ!」
二人で立ち去り掛けた…その時だった。
「鍵って、これの事?」
突然、車の中から声がした。
見れば──僅かに開いた助手席の窓から、小さな白い顔が此方を覗いている。
指先に銀色のキーホルダーを引っ掛け、得意気にチラ付かせているのは──
「紫っ!?」
「ふふ…また会ったね、薙。」
…そう言って。勢い良く車から飛び降りた紫は、長い髪を背中でひとつに束ねていた。洗い晒した空色のシャツを着ている。
「鍵が欲しいの?僕が持っているけど??」
紫は、右手に持った鍵をシャラシャラ鳴らして笑って見せた。途端に、一慶の目の色が変わる。
「お前…!その鍵、何処で!?」