「そうです。取り調べが正常に行われれば、その疑いは晴れるでしょう。ですが…真織が、服役中の受刑者を呪殺していた件は事実です。その範囲は、全国各地の刑務所に及ぶ──。事実関係を確認した後は、公安調査庁に引き渡され、聞き取り調査が行われます。破壊活動防止法に抵触するか否かを、審査されるのです。」

「法務省にまで…」

「えぇ。万が一、法に触れると判定が下れば、六星一座そのものが『危険団体』と認定されてしまいます。一連の事件は、真織個人が引き起こした事。一座の潔白を証明する為にも、調査には協力的でなければなりません。」

 隆臣の話を聞いて──何故、真織が自ら闡醍に身を堕とそうとしたのかが解った。

一座を護る為…。ただその為だけに、彼は首座殺しの汚名を着る決意をしたのだ。

闡醍として絶縁されれば、一座に迷惑を掛けなくて済む。そうして自分は、母親と共に地獄に堕ち、罪を償うつもりだったのだ。

 …これから。
真織は、どんな人生を歩むのだろう?
ボクは彼に、何をしてやれるだろう??

 沈み込んだ空気の中で、隆臣は言う。

「此処は、現場検証の為に封鎖致します。奥様の御遺体も収容しなければなりません。首座さまは、暫く当家でお休み下さい。さぁ─…」

促す様にボクの背に手を回して、隆臣は話を切り上げた。

 そうして。ボク等は再び向坂家に戻ったのである。次期当主・向坂紫と共に──。