一進一退の攻防を繰り返す蒼摩と真織に、ボクは忽ち不安になった。

援護しなくて良いのだろうか?
真織は、まだ余裕が有りそうだけれど…??

「大丈夫だ。蒼摩に任せろ。お前は自分の為すべき事を為せ。それが邪霊討伐の原則だ。」

 一慶の言葉に、ボクはハッとした。
そうか…これは、討伐の現場なのだ。
俄かに緊張した背に、一慶の胸がピタリと寄り添う。

「…集中しろ、薙。余計な事は考えるな。大丈夫だ、お前なら必ず出来る。」

「うん。」

 力強い励ましに、心が落ち着く。

不思議だ──。
一慶の言葉には、絶対の安心感がある。

彼が「大丈夫」と言うのだから、きっと何とかなるに違いない…そう思えてしまう。

 揺るぎ無い自信を胸に──。
ボクは、最大限に集中を高めた。