「…ところがです。真織が行者となってから、当家に不可解な現象が起きる様になりました。その最たるものが、千里の変化です。」

「千里さんの変化とは、どの様な??」

「はい。千里の霊媒体質が一層酷くなってしまったのです。それを機に、一度は治まっていた霊障が、次々と起こる様になりました。」

「そんな…どうして、また?」

「真織と千里の間に《共鳴現象》が起き始めたのですよ。」

「共鳴現象?」

「霊能力者の傍に長く居ると、それに感化されて、同じ力を遣える様になる者が、ごく稀《まれ》に存在します。霊感の強い人や、霊媒体質の人等に多く見られる現象ですが…。これを我々六星は《共鳴者》とか、《模倣行者》と呼んで浄霊の対象にしているんです。」

 蒼摩の解説は、素人のボクでも至極解り易いものだった。そこへ、一慶が補足を加える。

「狐霊や蛇霊(ジャレイ)は、強い障(サワ)りを持たらす霊群の代表格だ。元々、霊媒体質だった千里さんは、真織さんと長く親子関係を続ける内に、いつの間にか《狐霊》の影響を承けていったんだろう。」

 共鳴現象──そんな事が起きるなんて。

霊の世界は複雑だ。
一体どんな仕組みになっているのだろう?