「あ、でも…お会計は??」
「後程、請求書をお持ちします。」
「そう…解った。」

 返事をした途端。
背後で大きな欠伸が聞こえた。

「あぁ、よく寝た。なかなか寝心地の良い椅子だな。流石は向坂クリニック。インテリアまで一味違うわ。」

一慶…
相変わらず、なんてマイペースな…。

「運転手も起きた事ですし…参りましょうか、首座さま?」

 蒼摩も相変わらずだ。
淡々と呟いて立ち上がると、会釈をしてサッサと玄関ホールへ向かう。

 …そうして。ボクらは、一足先に向坂家に向かう事になったのであった。