一慶にせっつかれて…ボク等はピカピカのトレイルブレイザーに乗り込んだ。後部座席に座るなり、蒼摩が一慶に話し掛ける。
「新車ですか…。最近、羽振りが良いみたいですね、先生?」
興味があるのか無いのか…。
蒼摩は、車内のアチコチを見回しながら、抑揚の無い口調で言う。
「他人の趣味をとやかく言うつもりはありませんが、アメ車って壊れ易いんじゃ?」
「そこが良いんだよ。」
「え?壊れるのが良いの??」
ボクが訊き返すと、一慶は得意気な一瞥と共に答えた。
「壊れる度に手を掛け、金を掛けて、初めて愛着が湧いて来るんだよ。」
──そういうものなのだろうか?
ボクには、良く理解出来ない境涯だ。
「哀しいですね。」
蒼摩がボソリと呟く。
「女っ気が無いと思ったら…こういう處ろに投資しているんですか、先生は。」
「趣味に掛ける手間と金は惜しまないタイプなんだよ、俺は!」
「成程。『寂しい男は車を買い、寂しい女は猫を飼う』って言うけれど、あれは本当なんだな…。」
わざわざ聞こえる様な声で、独りごちる蒼摩。
「この様子では益々縁遠くなりそうな…」
「…聞こえてるぞ、蒼摩。」
「聞こえる様に言っていますから。」
「お前な…。」
「新車ですか…。最近、羽振りが良いみたいですね、先生?」
興味があるのか無いのか…。
蒼摩は、車内のアチコチを見回しながら、抑揚の無い口調で言う。
「他人の趣味をとやかく言うつもりはありませんが、アメ車って壊れ易いんじゃ?」
「そこが良いんだよ。」
「え?壊れるのが良いの??」
ボクが訊き返すと、一慶は得意気な一瞥と共に答えた。
「壊れる度に手を掛け、金を掛けて、初めて愛着が湧いて来るんだよ。」
──そういうものなのだろうか?
ボクには、良く理解出来ない境涯だ。
「哀しいですね。」
蒼摩がボソリと呟く。
「女っ気が無いと思ったら…こういう處ろに投資しているんですか、先生は。」
「趣味に掛ける手間と金は惜しまないタイプなんだよ、俺は!」
「成程。『寂しい男は車を買い、寂しい女は猫を飼う』って言うけれど、あれは本当なんだな…。」
わざわざ聞こえる様な声で、独りごちる蒼摩。
「この様子では益々縁遠くなりそうな…」
「…聞こえてるぞ、蒼摩。」
「聞こえる様に言っていますから。」
「お前な…。」